飛亀カップ スポーツクラス レースレポート

Result:優勝



相棒の仕事が終わるのを待ち、前日20時に福岡を出発。去年より寒く感じる気温の中、背振を越えて、高速に乗り長崎へ。途中のPAで豚飯ラーメンを食べる。濃くもなく、薄くもなく。ある意味文句の付けようがない味。24時前に琴海の旅館に到着。お風呂に入って、1時ごろ就寝。5時半に目を覚まし、出発準備。外に出ると、朝焼けがとても綺麗だった。去年と同じ色の空に1年前の記憶が甦る・・・出発して、コンビニで朝ご飯。サンドイッチとペペロンチーノ。意外と辛い。結構道に迷いながら、それでもきちんと会場へ到着。


エントリーを済ませ試走へ。コースは去年よりも伸びている。シングルトラックが2つ増え、よりテクニカルになり、登りセクションが増えた。思い出のある地形。ひとつひとつの道、岩、くぼみ、ぬかるみが1年前のレースを思い出させる。途中17歳の選手と合流し、一緒に周る。上り坂でも会話が途切れない。自転車を始めて2年目と聞き、驚く。


試走を終え準備。その間、元Jシリーズで走ってた人と会話をする。鹿児島から長野まで、自動車を運転してレースに参加した話。レースでの走り方。トッププロの走り・・・。とても面白かった。


そうこうしているうちに、スタート30分前。最後のアップをし、スタートラインへ並ぶ。


まったく緊張していなかった去年と違い、今年はかなり緊張している。脚が震えて、自分の身体が思うように動かない。スタートまでの数分間がとても長く感じる。5分前、3分前、1分前、15秒前・・・パンッっとピストルの音でスタート。


SPDクリートがはまらない!焦る!!しかし、アッキーは改心のスタート!みるみる離される!なんとかクリートをはめて追走。ここで3番手。シングルトラックに入るまでに、アッキーの後ろにつかなくては・・・追い抜くポイントがほとんどないシングルトラック。ここで差をつけられる訳にはいかないと思い、踏み込んでなんとか2番手に。


シングルトラックに突入。アッキーのすぐ後ろを走る。去年自分が感じたプレッシャー。きっと相棒も今感じてるはず。離されないように、下りも全開。フロントブレーキは一切かけず。かなり危ない場面もありながら、なんとか下りきる。


登りに入る。前へ出れそうな感じ。
・・・ここで前へ出るか?
・・・力を温存して、もっと終盤で前へ行くか?
一瞬迷ったが、全力を出さずして勝利はないと思い、前へ。先頭で走る。生まれて初めての経験。緊張とハイペースで恐ろしく心拍数があがる。


2つめのシングルトラックへ。ここは少し登って、少し下る短めのトラック。
試走のときは難無く走れたところ。しかし、緊張のためか、フロントセンターで行けるところでインナーに入れてしまう。バランスを崩し、転倒。パニック状態。必死に前に進もうとするが、1mも進まない。身体がまったく言うことを聞かない。
(やっぱり自分は勝ちとは無縁の人間なのか・・・)
(もう駄目だ・・・まったく進みやしないんだこの身体・・・)
そんな自分に後ろの相棒が声をかけてくれる。
「落ち着け、大丈夫だ」と。
その声になんとか後押しされて進みだす。


シングルトラックを抜けて林道。緊張で呼吸もうまくいってないのか、とてつもなく苦しい。心臓が破裂しそうだし、今にも吐きそう。
(誰か抜いてくれ・・・楽になりたい・・・)
(よそう、俺には無理だ・・・)
自分の弱い部分がさらけ出る。


3つめのシングルトラック。またシフトチェンジをミスって転倒しそうに。それでも今度は何とか前へすすむ。まるで昨日自転車を始めた人のような、デタラメな走りに可笑しくなる。それでもトップで1周目を終了。ラップするときに、ゼッケンと名前を読み上げられる。これで少し、何かが切り替わった。


2周目に入り、段々と落ち着きを取り戻す。四頭筋が張ってる。1周目にメチャクチャな走りをした証拠だ。あまりの身体の使い方の下手さに呆れる。
(いつもの練習通りに走ればいいじゃないか)
(とてつもなく強い人達の中で走ってきたじゃないか)
身体に血が巡るのを感じ、指先、つま先まで感覚が甦る。


1度も振り返ることなく、ゴールまで。


色んな自転車レースのゴールを見るたびに、いつか自分もあんな風に・・・と思っていた優勝シーン。


溢れたのは喜びではなく感謝の気持ちだった。
掴み取るものではなく、与えられるもの。
それが初優勝での「勝利」への感想だった。



最高の自転車。


感謝!有り難うございました!
大会を開催してくださった関係者皆様、コースを作ってくださった皆様。
一緒に練習してくださった会長、ダイゴロウさん、マッチさんやサントレの皆様。
すばらしい自転車、ホイールを組んでくださった店長。
そして、相棒のアッキーへ。